今も昔も、医学部に合格すること自体が難関と言われていますが
社会人を経て医学部を受験する、いわゆる医学部再受験も
望みを叶えられる人はごく一部という厳しい世界です。
私は約1年で地方国立大学医学部(学士編入ではありません)に合格することができましたが
本当に幸運なことでした。
今回の記事では、合格に至った中で最も大切だと感じたことをお伝えします。
まずは結論
短期間で合格できた3つの要因:
1.事前の入念な情報収集:必要科目は何か、自分に合った大学はどこか、勉強の仕方のコツは何か、受験に必要な全ての情報を集めた。
2.勉強計画を立てノートに勉強内容を記録:得た情報をもとに、何をいつやれば良いか計画に落とし込んだ。
3.メンタルコントロール:ネガティブなことを考える暇があったら勉強した。先の不安や過去の失敗を一旦忘れ、目の前の勉強を優先した。適度に息抜きをした。
この3つの中で、どれが一番重要な要素でしょうか。
答えは、3.メンタルコントロール です。この記事ではその理由をお伝えします。
何よりも優先すべきは、メンタルの安定
強い決意は不安を消し去る
医学部に行きたいと思ったのは、2008年2月頃で当時26歳でした。
26歳で無職の道を選び、受験勉強期間に入った当初の心境は
今でもはっきり覚えています。
「医者になりたい」という意識が芽生えた時は、1週間もの間なかなか眠れなくなりました。
意を決して書店へ足を運び、参考書コーナーに行った時には、急に胸に動悸が走りました。
「私は何をやっているんだろう」「この歳で一から勉強やり直すなんて正気?」
と、不安が胸いっぱいに広がった当時を思い出します。
「でもここで『できない、無理!』と何もせずに諦めてしまったら、一生後悔しながら生きることになる。
後悔しながら生きるなんて、地獄のよう。結果的にダメだったとしても、やらなかった後悔を胸に生きるよりは100倍ましだ!」
最終的にはそんな気持ちが強く燃え上がるように芽生え、その瞬間からは不安はどこかへ消え去りました。
「やるしかないんだ」と納得してしまえば、もう不安なんて感じる理由はなく、前に進むのみです。
強い決意があるから、その後何があっても立て直すことができました。
強く決意すると、周りから敵がいなくなる
模擬試験がうまくいかなくても、周りから遅れをとっていたとしても、何も関係ないのです。
もちろん、模試の成績や順位の把握は合格する上では必要ですし、独りよがりな勉強になってはいけないですが
比較すべきは、常に昨日の自分です。当時そう意識していたわけではなかったですが、周りを気にする暇がなくて
自分がどうしたら合格できるのか、そればかりを考えていました。強い熱意があると、周囲の人のことなんて
どうでも良くなるのかもしれません。
失敗するから成長できる
模擬試験で緊張して本領を発揮できなかったり、集中できなかったとしても、場数をこなせばだんだん慣れていきます。
試験の独特な雰囲気の中に、何回も身を置いていくとそれが日常になります。
スポーツと同じで、反復すれば身体が覚えていくのです。
問題を何回も解いたり、わからない部分を繰り返したりするのも全て同じです。
覚えるまで反復すればいいのです。十分やり切っていれば、本番で落ち着いて力を発揮できる確率は高まります。
しかし、どんなに反復し頑張っていたとしても、自分の力の及ばない部分は普通の学力の人なら必ずあります。それは逃れることができません。
苦手分野で問題が解けなかったり、ミスをしてしまったりすることは人間誰しも何度も経験します。
大切なのは、失敗から学ぶことです。
「失敗した・・」と、落ち込んだまま何もせず時間を浪費するのか
「失敗したけど、次は間違えないようにしよう」と切り替えるのか。
どちらを選ぶのかは、自分次第です。
メンタルの安定・維持が最も重要な理由
結局、最終的にはメンタルの安定・維持が合格の鍵を握っています。
なぜならどんなに用意周到に準備していても、失敗を引きずって気持ちの切り替えができなければ
全く無意味で、試験本番で安定したメンタルの維持ができないと、本来の力が発揮できないからです。
試験中のメンタルコントロール
目の前の試験に全集中し、わからないところにこだわらず
飛ばす勇気や、時間いっぱいまで見直しをする粘り強さは、何度も模擬試験を受けながら身につけられる
テクニックです。反復することでメンタルコントロールは上手になっていくのです。
試験の時間管理や上記のテクニックが身についていくと、逆にメンタルが安定しやすくなっていくとも言えます。
ある意味では慣れがものを言うため、より大切なのは毎日のメンタルコントロールだと思っています。
毎日のメンタルコントロール
日々の勉強でつまづいたり、模擬試験の時点で失敗するのはラッキーです。「本番じゃなくてよかった!」と安堵すべきです。
しかし本番でうまくいかなかったとしても、アンラッキーではないのです。物事のとらえ方によるのです。
知人の再受験生の中には、4年や5年の間何回も落ちてようやく合格を手にした人達がいます。
再受験じゃなくても純粋浪人で6年、7年と時間をかけて入学してきた人もいました。
何回も失敗しながら、その失敗から学び再び立ち上がる強い意志を持った人達が過去にたくさんいます。
血の滲むような努力・挫折がそこにはあったに違いありません。
落ち込みそうになったりネガティブ思考スパイラルにはまったときには、
合格者の体験談を読んだり聞いたり、同じ夢を目指す仲間に相談するなど立ち直る方法はいくらでもあります。
思い切って一日サボって小旅行に行ったっていいのです。それで気持ちが立ち直るならば。
ダラダラスマホを見て時間を潰したっていいのです。切り替えられるのならば。
私もそうしていました。スマホは当時なかったですが、SNS(mixiが当時の主流)を昼休みに眺めていましたし
合格体験記を何度も読み返していました。
勉強が手につかなくなった時には、友達と車でドライブしたりして息抜きしていました。
週に1日は休み(予備日)を作っていました。
国立大学に合格する前に他大学(私立)の学士編入試験を受け、補欠まで残った結果
結局繰り上げ合格の連絡が来なかった経験があります。
しかし、不思議とあまり落ち込みませんでした。
不合格が確定した時に
「ここに落ちたということは、本命の国立大学に合格しなさいってことか!」と
誰に言われたわけでもなく、自分勝手な解釈ではありましたが瞬時に気持ちの切り替えができたのです。
もっと勇気が出るかもしれない話として
私の同期には、50代半ばの人がいました。学年の1割くらいに再受験生・編入生がいて
40代や50代の人がどの学年にも必ず一定数いました。
医学部受験は、年齢関係なく誰でも挑戦できるのです。
何も阻むことはありません。制限しているものがあるとすれば、それは自分自身の思い込みでしかないのです。
まとめ
医学部合格の切符を手にするには、主に3つの要素が必要でした。
1.事前の入念な情報収集
2.勉強計画を立てノートに勉強内容を記録
3.メンタルコントロール
この中でも最も重要なのが、3.メンタルコントロールだとお伝えしてきました。
本記事では、1-2についてはほとんど言及していません。情報がたくさん拾える現代、調べればわかる内容は今回お伝えしませんでした。
何よりもメンタルコントロールが重要だったと、今でも思っています。
もちろん、限られた予算や時間があり、境遇は人それぞれですから全ての人が
医学部再受験に成功できるわけではありません。事情があって諦めなければならないケースの方が、非常に多いことは事実です。
それでも、不要な思い込みで夢に挑戦せずに生きている人がいるとしたら
本当に、それでいいのでしょうか。
この記事を読んでくれた人が、「後悔しない選択をしてほしい」と心から願っています。
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